「有事の円買い」はなぜ起こるのか?

世界的なショック「有事」が起きると日本円が買われ、円高になるのはなぜなのか、疑問に思ったことはありませんか?

例えば、過去には以下のような事例で「有事の円買い」が起こっています。

①リーマン・ショック(世界的な金融危機)(2008年9月)

②欧州債務危機(2010年)

③東日本大震災(2011年3月)

④英国民投票(2016年6月)(EU離脱)

世間一般の「有事の円買い」に対する認識

日本人にとって国際残高がどんどんと積み重なっていく日本円はとても安全な通貨とは思えませんよね。
(日本国の借金である国債残高は1000兆円を超えています)

世界的には、以下のような理由で日本円は安全だと考えらえています。

日本円は安全資産?

日本円は世界的に見て安全な資産であると言われています。

安全資産とは、リスクが少ない資産のことで、有事の際にはリスクオフのために買われる傾向があります。

日本は他国と比べて政情が安定しており、大規模なテロやクーデターなどで円が暴落してしまう可能性が低です。
そのため、海外の政治や経済に不安がある場合には、素直に円が買われる傾向があります。

しかしそれだけでは、東日本大震災や北朝鮮による地政学リスクにおいても円が買われる理由がわかりません。

日本は対外純資産が多い

長期にわたる経常黒字の結果として日本は対外純資産大国になりました。

日本の企業や個人、政府が保有する対外純資産(海外にある資産ー海外からの借金)は約350兆円と世界最大規模です。

こういった資金は、経済的なショックが起きると日本へ引き上げられます。

東日本大震災後に円高になった理由としては、保険会社が保険金を日本円として準備する必要に迫られたことが挙げられます。保険各社が、海外から資金を引き上げ日本円に換金するという見方が広がり、日本円が買われる結果となりました。

デフレである

日本の市場では、モノの値段が下がるデフレが起きています。

デフレ市場では、通貨の価値は上がっていきます。
(同じお金でより価値のあるモノが買えるようになります。)

したがって、海外の投資家は、有事の際に日本円に変えておけば、お金が無価値になるリスクが少ないということです。

(経済政策が失敗すると、ジンバブエやドイツのようにハイパーインフレが起こり、通貨の価値は暴落します。)

有事に円が買われる本当の理由

もう一つの理由は、日本が超低金利国であるということです。

日本銀行は長く続く0金利政策から、ついにマイナス金利政策をはじめました。これにより、長期金利(10年国債利回り)はマイナス0.2%程度と日本は超低金利時代に突入しました。

海外の長期金利を見てみると、例えば米国では1.5%と高金利状態です。

日本でお金を借りて海外に貸すとお金が増えるという不思議な状態が起きています。
多くの投資家は、日本で円を調達し、海外の株や債券などに投資しています。
(日本政府・日本銀行による円売り・ドル買い介入も広義の円キャリートレードで、実際にはドルを米財務証券で保有してます。)

この差額を狙ってトレードすることを、円キャリートレードと言います。

ところが、有事の際には、高金利通貨は売られ、日本円が買い戻されることになります。

これが、「有事の円買い」が起きる理由となります。

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