【労働基準法改正】働き方改革関連法で何が変わる?わかりやすくまとめた

働き方改革関連法、労働基準法の改正だと思われがちですが、8つの労働法をまとめて改正する法律であり、正式名称を「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」と言います。

法律の全文は衆議院の立法情報から確認できます。

働き方改革関連法で改正される法律一覧
  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
  • じん肺法
  • 雇用対策法
  • 労働契約法
  • 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
  • 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

働き方改革関連法案が提出された理由

働き方改革関連法案が提出された理由は、労働者が多様な働き方を選択できるようにするためであり、そのような社会を実現するために、時間外労働の限度・高度プロフェッショナル制度・同一労働同一賃金の実現と普及を目指すものです。

 労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を推進するため、時間外労働の限度時間の設定、高度な専門的知識等を要する業務に就き、かつ、一定額以上の年収を有する労働者に適用される労働時間制度の創設、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者と通常の労働者との間の不合理な待遇の相違の禁止、国による労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針の策定等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案

働き方改革関連法の目的まとめ
  • 時間外労働の限度
  • 高度プロフェッショナル制度
  • 同一労働同一賃金

【労働基準法】時間外労働の限度(残業の上限規制)

従来の労働基準法では、第36条第1項において労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で書面による協定をしこれを行政官庁に届け出た場合において時間外労働と休日労働が可能になるというものでした。(上限については厚労省からの告示が出ているだけであり、法律では定まっていなかった。)

働き方改革関連法では、この労働基準法第36条第1項の後に36協定によって定めるべき事項を追加されます(上限時間が法律に明記される)。

施行は2019年4月ですが中小企業については一部猶予措置があります。

36協定にて定めるべき事項

次の5項目が36協定によって定めるべき事項です。

  1. この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
  2. 対象期間(この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、一年間に限るものとする。第四号及び第六項第三号において同じ。)
  3. 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
  4. 対象期間における一日、一箇月及び一年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
  5. 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項

法律には4番目について、「一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。」との記載があります。

つまり、月45時間かつ年360時間まで、変形労働制の清算期間が3ヶ月を超える場合には月42時間かつ年320時間までの規制がかかるということです。

臨時的に限度時間を超える場合

36協定を結ぶ事業所において通常予見することのできない業務量の増加等において、臨時的に限度を超えて労働させることのできる時間を定めることができます。

臨時の上限は「月100時間未満かつ年720時間以内の範囲内で36協定にて定めなければならない。」と法律に明記されました。

同時に、臨時的に限度時間を超えることができる月数を定めなければなりません。

この月数は、法律に1年について6カ月以内に限る。」と記述されています。

時間外労働の時間について満たすべき要件

36協定の締結に当たっては次の4つの要件を満たさなければなりません。

  1. 坑内労働等の有害業務について、残業は2時間以内
  2. 1カ月の時間外労働は100時間未満
  3. 過去2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、それぞれの平均が月80時間を超えないこと

ここでは、月100時間未満かつ平均で80時間以内ということがポイントとなります。

時間外労働の上限が例外的に適用されない場合

新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に携わる者については前述の制限は適用されないことに注意が必要です。

残業上限はこう変わる

2019年3月まで

  • 労使間で特別条項付き36協定を結ぶことにより事実上上限なしにできる。

2019年4月~

  1. 月45時間かつ年360時間まで
  2. (特別条項)1カ月の時間外労働は休日を含めて100時間未満、1年間の時間外労働の上限は720時間
  3. 月45時間を超えていいのは年6回まで
  4. 複数月(2カ月~6カ月)の平均で時間外労働と休日労働の合計が80時間以内

有給休暇

有給休暇が10日以上与えられている労働者についてはそのうちの5日を与えなければならないこととなりました。

この5日については「使用者が労働者ごとに時期を定めることにより」与えなければなりません。

ただし、計画年休制度等で予め有給休暇を与えることが決定している場合においては、その日数分は差し引かれます。

有給休暇はこう変わる

2019年3月まで

  • 労働者からの申請に基づく。(使用者は時季変更権があるが基本的には受け入れなければならない。)

2019年4月~

  • 有給休暇は5日分を使用者が労働者がごとに時期を指定して与える。(有給休暇が10日以上与えられている場合。)

高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナル制度は「高プロ」と表現され、高度な専門知識を有し一定水準以上の年収を得る労働者について、労働時間規制の対象から除外する制度です。

高プロの対象者

高度プロフェッショナル制度は「高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務」が対象となります。

具体的には、研究開発、アナリスト、コンサルタント、金融商品のディーラー、金融業品の開発などの職業についている方のうち年収1,075万円以上の給与水準の方が対象になります。

高プロの対象者については、法律に明記されておらず、労働政策審議会において議論を経て厚生労働省令で定めることとしています。

給与水準については、平均年収の3倍を相当程度以上上回る水準であることが法律に明記されています。

高プロの内容

高度プロフェッショナル制度の対象者は労働基準法に定められている「労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定」の対象外となります。

ただし、労働者の健康維持のため以下の3項目については守らなければなりません。

  1. 健康管理のため労働時間を把握する措置を講じること
  2. 年間104日以上かつ4週間で4日以上の休日を与えること
  3. 休憩時間・深夜業務・健康管理時間について厚生労働省令に従うこと
  4. 1年に「2週間の連続した休暇を1回」または「1週間の休暇を2回」与えること。(有給休暇を付与した場合はその日数を差し引くことができる。)
  5. 健康診断を実施すること
高度プロフェッショナル制度まとめ
  • 年収1,075万円以上の一部専門職が対象
  • 残業上限に関する法律の適用外となる
  • 健康管理のため労働時間に関する規制と健康診断がある

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金は、同一企業・団体において正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間で不合理な待遇差の解消を目指すものです。

「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」が改正され、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に改題されます。

  1. 短時間・有期雇用労働者に関する同一企業内における正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、 当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化
  2. 有期雇用労働者について、正規雇用労働者と①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲が同一である場合の均等待遇の 確保を義務化
  3.  派遣労働者について、①派遣先の労働者との均等・均衡待遇、②一定の要件(同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と 同等以上の賃金であること等)を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化
  4. また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備
  5. 短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化
  6. 義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備

厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ 概要より引用

行政ADR
ADRとは裁判外紛争解決手続Alternative Dispute Resolution)のこと。代表的な行政ADRは国民生活センターや消費生活センターなど。
同一賃金同一労働まとめ
  • 有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者の待遇改善が目的
  • 均等待遇を義務化
  • 正規雇用・非正規雇用間の待遇差に関する説明を義務化
  • ガイドラインと行政ASRを整備

働き方改革関連法は2019年4月に施行

 

労働基準法やその他関連法は2018年の第196回国会で成立し、7月6日公布されました。

時間外労働の上限規制有給の強制取得高度プロフェッショナル制度など働き方が大きく変わる法律で、産業医機能の強化や勤務間インターバル、中小企業への割増賃金率の猶予措置の廃止なども盛り込まれており、多くの労働者にとって待遇が改善することが見込まれます。

施行は2019年4月ですが、中小企業においては猶予措置があり、すぐには働き方が改革されないことに注意が必要です。

働き方改革関連法まとめ
  • 時間外労働(残業)の上限規制(月45時間かつ年360時間以内:例外有り)
  • フレックスタイム制の清算期間の上限が3カ月に
  • 年次有給休暇の消化義務(年間5日)
  • 高度プロフェッショナル制度(年収1075万円以上かつ本人が同意している場合、労働時間上限の規制対象から除外)
  • 同一労働同一賃金
  • 産業医の機能強化
  • 勤務間インターバル制度
  • 中小企業への割増賃金率の猶予措置の廃止



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA